聖がどんな顔をしてるのか私には見えないけど、私の泣きそうな顔も聖に見られないで済むから良かった。


「ちょっと似てるんだよな……」

そんな中、聖がぽつりと呟く。

「……え?」

上手く聞き取れなかった。


「なんでもねーよ」

聖は話を反らして、そのまま私を家まで送ってくれた。


いつか聖の弱い部分に触れられる日が来るだろうか。


でもその前にもう少しだけ聖の背中に預ける手を強くしてもいいかな。

こんな機会、二度とないかもしれないし、明日にはまた優しくない聖に戻ってるかもしれないし。

そう思うとまた胸が締め付けられて、やっぱり私にとって三兄弟の中で聖はなにかが違うのだ。

その〝なにか〟はまだ分からないけど。