「あれ、ひとつゼッケンが足りない」
次は女子の試合の番。次々と赤のゼッケンを付けていく中で最後に私の分がない。
「じゃあ、用具室に取りに行ってくるよ」
「一緒に行こうか?」
「はは、平気」
景ちゃんに笑顔でそう言って私は用具室へと走る。
用具室は窓が小さいから日中でも薄暗くて、マットやボールの独特の匂いがする。
棚に置かれていたカゴから赤色のゼッケンを取って振り返ると、そこには人影。
「ひぃぃ……っ」
本気でお化けかと思って仰け反るとその反動で足をグキッとやってしまった。
「ま、茉莉ちゃん大丈夫?」
肩を支えられた私はやっとそれが昴さんだったことに気づいた。
「ごめん!脅かすつもりはなかったんだ。俺もボールを片付けに来ただけで……」
「そうなんですか。痛っ……」
動かすと痛みが走る右足。
本当に私のバカ。一体なにをしてるんだろう。
「試合はムリだからとりあえず保健室に行こう」
昴さんが私の手を掴んだ。
「で、でも……」
「先生にはあとで俺から言っておくから!早く冷やさないとどんどん腫れてきちゃうよ」
たしかに右足が赤くなってきた。
「早く俺の肩に掴まって」
「はい。すいません……」
そして私は保健室へと連れていってもらった。



