それから学校に着いて騒がしい教室。クラスメイトの女子たちはすぐに聖に向かって「おはよー」と甘い声を出してたけど聖は迷惑そうな顔をするだけ。

本当に冷たいというか……塩対応だなあ。


「……はあ。茉莉おはよう」

自分の席について景ちゃんがため息をつきながら近づいてきた。


「おはよう……って、どうしたの?」

明らかにテンションが低いし、私の前の席に座って頬杖をつきながらまたため息。


「だってさ、来週から風紀強化週間じゃん」

それは定期的に行われる生徒会が中心となって取り締まること。普段から規則には厳しいけど生徒たちの大半が聞き流しているし、晶くんみたいな目立つ人もいるけど……。


「マジで憂鬱だよ。化粧はできないしスマホも禁止だし、なにより生徒会が鬼すぎて苦手」

「……あはは、たしかにね」


この風紀の問題に関わらず、うちの生徒会は先生よりも莫大な権力を持っていると言われている。

特に生徒会長はかなり風紀に厳しくて、校内で男女交際が見つかると謹慎処分にされると言われているけど、私は男女交際に無縁だからそこら辺は詳しくは知らない。


「来週ズル休みしちゃおうかな」

「えー景ちゃんがいなかったら私が寂しいよ」


私は景ちゃんが大好きだから、たまに景ちゃんが男の子だったら絶対好きになってるかも、なんて思ったりする。

そんなことを考えてる時点で恋愛経験がないってバレバレなんだけど。