その攻撃で霧島くんの変異は解けて翼も爪もなくなった。バタバタと逃れようとしていた霧島くんも次第に大人しくなっていく。
勝負はついた。聖が勝った。
なのに、聖は霧島くんの首もとから離れない。むしろ強く、息をしなくなるまで噛み続けている。
「……や……めて。……聖、もうやめて!!」
私は自力で縛られていた縄をほどいて、そのまま狼の聖に後ろから抱きついた。
感触や大きさは違うけど体温は聖のまま。
「殺しちゃダメ!そんなことしたら聖は二度と人間に戻れなくなっちゃう」
聖は私を守るために狼になってくれた。
まだ不安定なのに、自信なんてないのに、それでも私のために戦うことを選んでくれた。
それなら今度は私が聖を守る。
聖に一線は越えさせない。例え血が強くても濃くても、狼になったことを後悔させないように私が止める。
「聖、私はもう大丈夫」
その顔を優しく撫でると、ゆっくりと霧島くんから聖が離れた。
「だから一緒に帰ろう。ね?」
聖が私の顔をじっと見つめたあと、暴走していた瞳の色が落ち着いて表情が変わった。
そして耳が消えて牙が消えて、次第に狼から人間の姿へと形を変化していく。
次に私の瞳に映ったのは、いつもの優しい聖の顔。
その大きな手が包むように私の頬に触って、私はそれを確かめるように手を重ねた。
「茉莉」
私の名前を呼ぶ聖の姿。
ニコリと同じ顔で笑って、私たちはそのまま抱き合った。



