バクバクとうるさい心臓。
ドアをいくら押しても開かないし、ここから出られない。
なにかがオカシイ。ずっとずっと。
ガチャガチャとドアノブを壊れるぐらい動かして、背後には昴さんの影。
「茉莉ちゃん、大丈夫だよ」
キッチンでは相変わらずグツグツと鍋が沸騰していて、換気扇が私の心臓よりもうるさく聞こえる。
怖い、どうしよう、どうしよう……。
「逃げないで。これから楽しいパーティーが始まるよ」
「……っ」
「だから茉莉ちゃん。早くこっちにおいで」
昴の手が私の肩に伸びる。
「イヤあああ……!」
恐怖でそのまま床にうずくまると、この雰囲気には合わないような冷静な声。
「いい加減にしろ」
ため息まじりのその声に慌てて顔を上げると、開かなかったはずのドアが開いていて、そこには一条聖が立っていた。
「やり過ぎだ、お前ら」
呆れた顔をしながらも、その手は私へと差し伸べられている。
「立てる?」
初めて聞いた不機嫌じゃない声。
手を掴みたくても体が震えてどうにもならない。むしろ腰が抜けたらしくて足にも力が入らない。
ポロポロと涙が溢れてきて、なにがどうなってるのかまだ理解できない。



