「とりあえず今はこれからどうするか考えよう。晶は動かすことができないし俺たちが行動できる範囲も狭くなったからね」

昴さんだって内心は気が気じゃないはずなのに私たちを不安にさせないように冷静でいてくれている。

私も落ち込んでる場合じゃない。


なんとかして晶くんを……と、その時。

リビングの窓が突然パリンッ!と割れて、外から嵐のような強風が中に吹き荒れる。

そんな突風と一緒に黒い物体が家の中に入ってくるのが見えた。


「ふたりとも伏せて!!」

昴の声に反応した聖が私の頭を床へと押し付ける。私を守るように上から覆い被さって、昴さんは晶くんの身体をしっかりと固定していた。


「な、なにが起きて……」

風がおさまって顔を上げると、そこには信じられない光景が。

室内にも関わらずリビングのあちらこちらにカラスがいて、取り囲むように私たちを見つめている。

そしてまるで王様のようにそのカラスたちの中心にいたのは言うまでもなく霧島禄。


「佐崎茉莉、迎えにきたぞ」

怪しげにそう笑った。