☆☆☆

2人が家に戻ってくるまでの時間は、俺にとっては永遠のように長かった。


出て行った車の音が聞こえて来た時、心の底から嬉しさが湧き上がってくるのを感じた。


今まででないくらいの速さで移動し、穴へと向かう。


暗かった明かりがつくのを今か今かと待った。


玄関を開閉する音が聞こえて来る。


2人の話声、笑い声が聞こえて来る。


俺は1人じゃない。


1人じゃないぞ!


そう思い、床を張って音を立てた。


ズルッズルッという音が響き渡る。


どうか気が付いてくれ。


俺はここにいる。


ここに閉じ込められているんだ!


そう願い、蛇のように体を這わせた。


しかしリビングに明かりが灯る事はなく、2人は別の部屋に入って行ってしまったのだった。