優生と昼ご飯をすませ、段ボールの片づけをしている時ふと、思い出した。


引っ越しが終ってひと段落ついた時に、両親に連絡をする約束をしていたんだった。


あたしの両親はとても過保護で、優生との同棲についても最初は猛反対されていた。


未婚の男女が一緒に暮らす必要なんてない!


そう言って一昔前のテレビドラマのようにちゃぶ台をひっくり返されたのだ。


その時の光景を思い出すと、プッとふき出してしまう。


お父さんは必死に父の威厳を示しているようだったけれど、あたしとお母さんには駄々っ子のようにしか見えなかった。


成長する娘を見ているのが嫌で、大きな怒鳴り声と物音で自分の言う事を聞かせようとしているのだ。


あたしがそんな風にお父さんの事をみていることを、本人はまだ気が付いていないようだ。


「なんだよ、急にニヤニヤして」


優生が食器を片付けながらそう聞いて来た。


「なんでもない。両親に電話をするのを忘れてたの」