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こじんまりとした小さな庭で一服した俺は、窓からリビングへと戻って来た。


咲は遅めの昼食の準備をしてくれているようで、キッチンで背を向けている。


あぁ、いいなぁこういうの。


早く結婚したいワケじゃないけれど、こういう光景を見ていると結婚したいという願望が湧いてくる。


料理をしている最中だから邪魔をしてはいけない。


頭ではわかっているのだけれど、小さな背中が自分のために頑張ってくれているのだと思うと、抱きしめたいという衝動に駆られてしまう。


「咲、俺も何か手伝うよ」


そう言いながら近づいていく。


咲が振り返り「もうすぐできるから大丈夫だよ」と、ほほ笑む。


それでも咲に近づこうとした、その時だった。