どうやら同棲初日から料理を頑張ってくれる気満々だったようだ。


そんな咲の頭を撫でて「大丈夫。近所にパン屋さんがあるんだよ」と、言った。


不動産屋と一緒にこの家を見に来たとき、偶然見つけていた店だった。


「うそ、本当に!?」


パン屋と聞いて咲の目が輝いた。


パン好きな咲ならきっと喜ぶと思っていたのだ。


「行ってみようか」


俺は喜ぶ咲の手を取り、玄関を出たのだった。