玄関までには壁と同じ白い階段が3段ついていて、階段の両端にはこげ茶色のオシャレな手すりが付いている。


階段の手前には小さな白い門が付いていて、まるでおとぎ話の中に出て来るような家だった。


「ここ、家賃5万円なんだ。その辺のぼろアパートを借りるよりもよっぽどいいだろ?」


「5万円!」


その安さに驚いて目を丸くするあたし。


「でも、それって大丈夫なの? 事故物件とか、そういうんじゃ……」


「そんな家借りるがわけないだろ? この家が安いのは駅まで距離がある事と、築年数のせいだって聞いたんだ」


「そうなんだ……」


そう言われて見てみると、確かに家のあちこちにボロがきているのが見えて来る。


「だけど……家を借りておけばこのままずっと一緒に暮らしていく事だってできるだろ?」


優生が少しだけ頬を赤らめながらそう言ったので、あたしの体は一気に熱を帯びていく。


「なに、言ってるの」


あたしは自分が照れていることを誤魔化してそう言い、優生の手を掴んで家の中へと入って行ったのだった。