「なぁ、サキ、返事くらいしてくれよ」


タチバナがサキの腕を掴む。


その瞬間、サキがその手を振り払い距離を取った。


相当警戒している様子だ。


「あたしに触らないで!」


掠れた声でサキが言う。


恐怖で声が出てこないのかもしれない。


「どうしたんだよ? あの頃はもっと……」


「あの頃と今は違う!」