その事を思い出すと不安になっていく。


しばらくすると足音が聞こえて来てユウセイがやってきた。


まだ寝癖がついたままの頭で「おはよう」と、サキに言う。


いつもならサキは大きな声で「おはよう!」と返事をするのだが、今日はそれも違っていた。


サキはとても小さな声で、ここにいると聞きとる事が難しいくらいの声で返事をしたのだ。


さすがにそれにはおかしいと気が付いたのだろう、ユウセイがサキの隣へと向かうのが見えた。


そうだ。


話をちゃんと聞いてやれ。


昨日お前の両親がサキの事をないがしろにしていたからこうなったんだ。


俺は心の中でユウセイへ向けてそう言った。


しかし、その気持ちがユウセイに届く事はなかった。