ピコンッ 【終わったよ】 【もう少しで着く】 彼からのメッセージは相も変わらず、絵文字もスタンプも付いていない。 駅前の時計台の下で、マフラーに鼻まですっぽりと埋めて文字を打つ。 【わかった、待ってるね】 そう送ったしばらく後に「れる」と私の名を呼ぶ愛しい声が聞こえた。 「わり、待った…?」 「待った〜」 白い息を吐きながら正直にそう言うと「寒かったよな、ごめん」と笑って手を差し出す。