君と駆ける夏

深呼吸して放ったボールはキャッチャーのミットの中にはまった音ではなく、綺麗な金属音。




ボールは駆流のいるレフトに飛んでいく。




そして、駆流を追い越してフェンスぎりぎりに落ちる。




周りからは大歓声。




駆流がキャッチャーへボールを投げたけど、間に合わなかった。




3対2。




私達の夏が・・・・・・・終わった。




試合終了の合図が初めて遠くに聞こえた。




誰も泣かなかった。




甲子園に来たから、チームプレーができたから、楽しかったから。




「光ちゃん。甲子園、来れたね。私、一生忘れない。」




「・・・・・・私、来年もここに来ますね。みんなと一緒に。」




私は渚颯先輩と抱き合った。




キャプテンが集合を掛けた。




「準備が整ったら一旦外に集合してくれ。マネージャーもよろしくな。」




そう言って中に入っていく。




先輩達の顔はちょっと清々しいけど、駆流の顔は曇ったまま。




私は駆流を気にかけながら後片付けをした。




「光ちゃん!先に外に行ってましょ。」




「はい。分かりました。」




私は荷物をバスに積んで、入口の前でみんなを待つ。