「おはよう、お母さん。それから……」

ハッ、ハッと荒い息で、千切れんばかりにしっぽを振る黒いトイプードルとチワワのミックス犬。

興奮したように足元にピョンピョン飛びついてくる愛犬を両手で抱き上げると、頬をすり寄せた。

「ふふっ、おはようベリー」

「わふっ!」

女の子なのに男の子なみの活発さで、たまに手を妬くけれど、この頬に当たるふわふわの毛並みに顔を埋めると、すごく癒される。

朝から幸せな歓迎を愛犬から受けつつ、私は椅子に座った。

「おはよう、冬菜。今日は高校の入学式だったな」

「おはよう、お父さん。うん、そっちは大事な会議があるんだっけ?」

お父さんは商品開発の仕事をしていて、今日は新商品の企画を発表する大事な日だと昨日話していた。