わけもわからず、ただ頭に血ののぼった俺はつかつかと彼女を置いていった。
なんで。
なんで、あの王子の花はよくて、俺の花束は嬉しそうに受け取らないんだ?
「あーーーっ」
俺はくしゃりと自分の髪を掴んだ。
ムカつく。
なんで、俺だけがこんなに必死なんだよ。
俺は行き場をなくした花束を怪しい店の前に座っているその手の職業の女に上げることにした。
俺の顔とローブを見た女が、嬉々として腕を組んでくる。
「ありがとう」
妖艶なその微笑み。
俺はチラリと彼女の方を見た。が、後悔する。
全然、こっち見てないじゃねーか。
花屋の前でなんかで十歳くらいの少年と何やら話し始めてるし。
少年の瞳を見れば、彼女の綺麗さに目を奪われているのは明らかだった。
「お兄さん、城の人?その格好、結構目立つわ。早く仲に入りましょう?」
「いや、連れがいる」
言って虚しいが、今はそれどころではない。
あんなチビにとられてたまるか。
「連れって?」
「女。つまり、お前に用はない。花の処理に困っただけだ」
「ふーん。こんないい男振ったの?もったいなーい」
「フラれてなんかない」
「そーお?ま、今夜は私が___」
俺は反射的にその手を振り払った。
「触るな」
「え?」
戸惑う女を置いて、俺は早足で彼女の方へと近づく。
「行くぞ」
無理矢理に彼女の細い腕を引っ張って、俺はその場を後にした。



