咄嗟に片手でさつきの頭を抱きかかえ、もう片方の手でボールを受ける



なんでボールを見てないかな…



ふぅと息を一つ吐く





俺がベンチ側にいて良かった





それにしても…大也のスパイクなんとかしないとな…



弾いたボールを拾い上げる



「大也」



見据えると少々怯えているようだ



「さつきを狙うとはいい度胸してんな」



「え!?いやそんなつもりじゃ…」



慌てふためく大也


理由なんてなんでもいいんだよ




「杏さんに報告しとくわ」



お前が100%の力でスパイクを打ち込めなくなれば、うちのメンバーもレシーブできるから



この勝負に何としても勝たないと…




「そっそれだけは勘弁して」とネットに指をかけ顔を青くしている






最終セットに入り、中盤でそれまでピッタリと合っていた吉倉さんのトスが少し乱れた


強打はできず、大也が取りづらいコースへ緩く打ち込んだが、きれいなレシーブを上げられた



ブロックに跳ぶ体勢を整えたが、早川さんがトスを上げずにボールをキャッチしたことによって試合が止まった