※※※ 「これ持ってきな」 翌日玄関で靴を履いていると朝から冷たい声が落ちてくる。 両足にローファーを装備して、椿から小さな手提げ袋を受け取る。 大きさからするに、これはいわゆる“手作り弁当”というものだろう。 彼女とか好きな女子じゃないけど、作ったのは名前も知らないおばさんだけど、それでもちゃんと女性が作った弁当だ。 なんだか照れくさい。 母さん以外から手作り弁当を受け取ったのはこれが、色んな意味で記憶に残る、人生初になった。