今日のメニューは俺の好きなとんかつだ。 なのにどうして、こんな状況じゃ味なんて全然分からない。 それはもう、視覚で確認しないと何を食べてるのかすら分からないほどに。 いつもなら賑やかなはずの時間だった。 父の方針で食事中のテレビは禁止されている。 「一日の始まりと終わりは、家族の絆を深めるために使おう」と言うのが発端だ。 その家族の時間に、今日は打って変わって葬式のような重苦しい空気が流れる。 カチャカチャと食器の擦れる音だけが虚しく響く。