手にはフォークを持ったまま、阿呆みたいに開いた大口を閉じるのも忘れて、可哀想に置いてけぼり。 気の抜けた鳴き声が聞こえてくる。 だけど俺の体は活動を停止したまま動かない。 かつてこんな経験をしたことがあるだろうか? いや、ない。 まだた十七年とちょっとしか生きてないけど、俺はいつだって賞賛を浴びてきた。 いまだってそうだ。 「いいこと言うじゃん」 そんな言葉が返ってくるとばかり思ってた。 もしかしたら椿は俺たちとは違う生き物なのかもしれない。 本気でそう思った。