だったらあんたが堕ちてくれ


「えー!こんな時間に?」

エプロンで手を拭きながら母さんが出てくる。

「はあ……はあ、ただいま」

「こんばんわ」

こんばんわ?

帰ってきた息子にこんばんわ?

おかしいだろ。

そこはおかえりじゃないのか?

それに……さっきから微妙に視線が合わない。

改めて妹と母さんの顔を確認する。

二人の視線は明らかに俺を飛び越えて、さらに後ろへと向けられている。

いや、まさか、そんなはずはない。