だったらあんたが堕ちてくれ


良かった。
無事に、帰ってこれた。

息を整えながら無様に倒れている体を起こす……と口をパクパクさせた妹が立っていた。

「はあ……はあ、さくら?」

肩を上下させたまま問いかける。

妹は返事の代わりに家の奥に向かって叫び出す。

「お母さん!大変!お兄ちゃんが彼女連れて来た!」

は?
彼女?

いやいや。

自慢じゃないが、うん、本当に自慢じゃないけど、生まれてこのかた彼女なんてできた試しがない。