※※※ その人は一人だった。 全身を真っ黒な服に包み、ただ静かにしているだけなのに、その存在感はとてつもなく、目を止めずにはいられなかった。 無視できなかった。 そんな選択肢はなかった。 「大丈夫?」 声をかけ、肩を叩く。 振り向く。 その人はこっちを見てる。