「おはよう」
研究棟のロッカーで秋成は秀人に出会い、挨拶をした。
「……おはよう」
と返してくるが、機嫌が悪い。
いや、相変わらず、表情は能面のようで変わらないのだが、声が機嫌が悪い。
「どうした、キング」
と言うと、その呼び方はやめろ、と言う。
「俺が威張りくさってるみたいじゃないか」
まあ、威張りくさってはいないが、誰を前にしても、へりくだりはしないよなーと思いながら、
「そういえば、どうだった?
明日香姫とデートしたんだろ?」
機嫌のよくなりそうな話題を、と思ったのだが、そこが鬼門だったらしい。
「……お前の方が呼び捨てにされている」
となんの前振りもなく、秀人は恨みがましく言ってきた。
「は? 俺?」
「明日香は俺を葉月さん、と呼ぶくせに、お前のことは、廣田秋成、とさん付けでなく、呼んでいる。
というか、絶叫している」
「そうか……。
俺は、何故、俺がお前の彼女にフルネームで、呼び捨てにされているのか、その方が気になるが……」



