「そういえば、お前、箸と茶碗買ってないだろう」
部屋に着いてきながら、秀人が言ってきた。
明日香は、並ばないよう早足で歩く。
真横に立たれると、顔が近く、なんとなく恥ずかしかったからだ。
少し後ろを歩く秀人を振り返らずに、
「返したじゃないですか、四万円」
と言うと、
「だから、領収書を持ってこい。
俺が払うから」
と言ってくる。
明日香は鍵を開けながら言った。
「普通、そういうときは、一緒に買いにいこうじゃないんですか?」
ただの素朴な疑問だったのだが、秀人は、
「そうか。
一緒に買いに行きたかったのか。
じゃあ、明日にでも行こう」
と言ってきた。
いやいやいやっ。
私から誘ったわけじゃないですからっ。
一般論ですよ、一般論っ。



