「上がって行かれませんか?」 まだ夕方だし、マンションの下で、明日香はそう言ってみた。 だが、葉月は、 「いや、いい」 と言う。 「そうですか。 じゃあ」 と行こうとすると、腕をつかみ、 「いや、どうしてもと言うのなら、上がらないこともない」 と言ってきた。 ……言ってません、と思ったが、そういうところは、なんか可愛いな、と思って、うっかり上げてしまった。