王様と私のただならぬ関係

 


 外の花壇の辺りまで出ると、秋成はこちらを振り向き、言ってきた。

「いやあ、あいつの相手が君だったとはね。
 今年の新入社員で俺の一押しだったのに」

 そうか。
 こういうことをサラッと言うからモテるんだな、と明日香はその言葉を冷静に聞いていた。

 確かに格好いいが、秀人の常人離れした美貌を間近で見てしまったので、どんな顔にもどんな囁きにも耐性が出来ていた。

 あの人の場合、ああいうキャラだから、可愛いとか言ってくるだけで、人の百万倍効果があるからな、と思う。

 いやいや、別に喜んでいるわけじゃありませんからね……と聞いてもいない秀人に心の中で弁解する。

 昨日、秋成の入れ知恵のせいで、ひどい目にあったと語ると、秋成は、いきなり笑い出した。

「そうか。
 あいつはいつでも、言われた基本は忠実に守る男だからな」

 いや……忠実に守るのは、紅茶の淹れ方だけにしていただきたいんですが。

「やると言ったらやる男だし」
と秋成は言うが。

 普段聞いたら、よい言葉なのだろう、その言葉が今は全然いい感じに聞こえてこない。