王様と私のただならぬ関係

 なんだかんだであれだけの美形だ。

 なによ、貴女、葉月と付き合ってるの? えいえいっ、とかって、攻撃を受けそうな気がしていたのだが。

 ……ちなみに、えいえい、とボールペンで突かれる程度の攻撃しか思いつかないのは、今まで恋愛沙汰でもめるとかいう派手なことが、おのれの人生に置いて、起こったことがなかったからだ。

「ところで、なにしに来た、日下部」
と小笠原に改めて問われ、

「ああ、書類を回しに来たんですよ。
 17日までに此処の研究棟で回して、印鑑お願いします」
と言う。

「いやー、忙しいからなー」
と言う小笠原に、

「それが嫌なんですよねー」
と明日香は眉をひそめた。

「書類持ってくと、現場の人は大抵、そう言って嫌がるんですよ」

「目が滑るんだよ、読めないんだよ」
と難しい学術書なら読めるくせに、ペラペラの回覧を見ながら、そんなことを言ってくる。

「……学者だから、日常生活の些末(さまつ)なことは一切、出来なくてもオッケーなんてことはありませんからね」

「学者の娘が言うと、説得力あるな……」
と言いながらも、一応、受け取ってくれた。