王様と私のただならぬ関係

 腕を組み、自分を見下ろし、秀人は言ってきた。

「俺もズボラだ」

 無謀な彼の主張に、何処がですかっ? と叫びたくなる。

「片付けるのは苦手だ。
 こまめに掃除するのもめんどくさい。

 だから、そうしなくていいように、この家には物がない」

 そういえば、と思い、明日香は周囲を見回した。

 洒落たシンプルな家具が、ぽんぽんと置いてあるだけで、飾り的なインテリアはひとつもない。

 キッチンに物が出ていないと思ったら、棚の中にも物がない。

 ……待てよ、本当にない!?

とマジマジと壁一面が棚になっているような白い食器棚を見る。

 本当になにもないよっ!

「来てみろ」
と言われ、間近に、その食器棚を覗く。

 秀人が開けた引き出しに、ああ、まあ、それだけあれば、とりあえず、食事は出来ますよねー、という茶碗の類いが一揃いだけ入っていた。

「あ、あのー、なんで一人分なんですか?」
と訊くと、

「この家には滅多なことでは、客は呼ばないから。
 一人分しかいらないだろ」
と言う。