王様と私のただならぬ関係

 



 ……わあ、生活感がない。

 明日香は几帳面に整えられた室内を見回し、思う。

 職場できちんとしている人が、実は家ではだらしなかったり、というのを想像していたのだが、家まで綺麗だった。

『もう~、しょうがないわねー』
 私が居ないと駄目なんだからーと言いながら、脱ぎ散らかした服の側で平気で転がって本など読んでいる夫、となら、一緒にやっていけそうな気もしていたのだが。

 無理無理。
 これは無理です。

 チリのひとつも持ち込んだら殺されそうだ。

 今すぐ此処から撤退したい、と思いながらも、動いただけで、この綺麗な家を汚してしまいそうで、一ミリも動けない。

 すると、広いリビングから続きになっているキッチンへと向かっていた秀人が、
「どうした?」
と振り返り訊いてきた。

「無理です」

 つい、声に出して言ってしまう。