王様と私のただならぬ関係

 



「さっきの本、俺も借りた」

 車の中で、秀人はそう言ってきた。

「は、花図鑑ですか?」

 そうだ、と秀人は言う。

「最初に青い薔薇一輪にしたのは、花になにが意味があるんだとお前にわかってもらうためだった」

「……しゃべらなかったのは?」

「なんとなくだ。

 秋成に言われて、顔を隠してみたから。
 ついでにしゃべらなかったから、俺だとわからないかな、と」

「いや、貴方だとわからない人にいきなり薔薇とかもらったら怖いんですけど。

 でも――
 わかりましたけどね」
と明日香は笑う。

「……なんで青い薔薇だったんですか?」

 そっと、そう訊いてみた。

 秀人はちょっと沈黙したあとで、
「調べたんだろ、花言葉」
と言ってくる。

「青い薔薇は、奇跡。
 一本の薔薇は……ひとめぼれ?」

「だから……そのままだろ」