恨みますねえ。
……なにを?
と思いながら、研究棟に戻った秋成は、また、突然なにを思いついたのか、壁に向かって、メモしている秀人に気がついた。
紙の色と壁の色が酷似していて、一瞬、壁にメモしているのかと思って、ビビる。
自分の中に入り込むと周りが見えなくなる奴だからな、とその姿を見ながら思った。
明日香に対しても、のめり込んでいて、周りが見えていないのだろう。
奇怪な仮面をどの時点からつけて移動しているのか。
……まさか、家から?
運転中もか?
あちこちの監視カメラにも映ってるんじゃないのか?
そのうち、職務質問受けるぞ、と思いながら、無表情にペンを動かす秀人を眺めていた。
こいつ、研究者は全部自分みたいだと思っているようだが、お前は特別変わっているぞ、と思っていると、秀人がその紙を持って、デスクに戻ろうとした。
「なあ」
と呼びかける。
秀人が顔を上げた。



