王様と私のただならぬ関係

 



 今日も秀人は薔薇を持って行ったのだろうかな、と思いながら、秋成は、春なので、花咲き乱れる中庭を歩いていた。

 あんな葉月でもいいなんて、よっぽどだな、と明日香のことを考えていると、その明日香がちょうど回覧らしきものを手に歩いてくるところだった。

 声をかけずに眺める。

 普段は可愛いって感じの顔だけど、そうして、ちょっと憂い顔なんかしてると、綺麗だな。

 でも、恐らく、そんな風に見えるだけで、なんにも憂いてはいない気がするんだが……。

 せいぜい、今日の社食についてだろう、と失礼なことを思ったあとで、
「明日香ちゃん」
と声をかけると、

「ああ、廣田さん」
と顔を上げ、微笑みかけてくる。

 うん。
 憂い顔の方が綺麗だけど、やっぱり、明るく笑ってる方が彼女はいいな。

 ほっとする、と思いながら、
「なに考え事してたの?」
と訊いてみた。