明日香が居る。
秀人はトレーを手に、最後尾に並んでいた。
すると、ちょうど前に並んでいる男性社員たちが、女子の新入社員の批評をしている。
「今年は可愛い子多いよなー」
「あの子可愛いよな。
えーと、今森さんの後ろの子」
明日香だ、と秀人は勝手に思った。
「ああ、あの髪の長い子。
俺もいいなあ、と思ってたんだよ」
「あの子は指輪してないね」
誰それは大学時代の彼氏にもらったとかいう指輪をしてたとかいう話で盛り上がっている。
その後ろで秀人は、
指輪……。
指輪を買わなければ、と思っていた。
席に着いた途端、秋成が、
「人気だね、明日香ちゃん」
と言ってきた。
「まあ、俺がいいと思うくらいだから」
おい……。
何故、お前基準、と思っていると、
「可愛いもんね。
ほやーっとした感じで」
と笑いながら、緋沙子たちと離れたテーブルに居る明日香を見ている。