王様と私のただならぬ関係

『おやすみなさい』
と言って、電話は切れた。

 ロールカーテンが下り、ほっとしながらも思う。

 言ってもいいんだぞ。

 やっぱり上がってってくださいとか……。

 そう思いながら、黙って淡い色のカーテンの向こうを見つめていた。

 時折、明日香の影が見える。

 そのまま見ていたい気もしたが、帰ったら電話すると言ってしまった。

 すぐに戻らないと、心配するかもしれないと思い、車の方に向きを変えたとき、それが目に入った。

 マンション前の茂みに隠れた人影。

「如月」
と呼びかける。

 逃げかけた大地は、少し迷って、戻ってきた。

「求愛のダンスを踊りに来たのか」
と訊いて、

 また、なにを言い出したんだ、こいつは、という顔をされる。

 自分の中では話は通じているのだが、他人にはまったくその流れが伝わっていない、ということは、自分にはよくある。