王様と私のただならぬ関係

 なにか思い当たる節があるんじゃないですか? と心の中だけで問いかける。

「ひらけ、ゴマ、と言ったら、開けてあげます」
と言ったら、結構、戸数のあるマンションの廊下だというのに、秀人は即座に、

「ひらけ、ゴマ」
と言ってきた。

 ……うん。
 迷いがないな。

 帰宅してきたどっかのお父さんとかに聞かれたら恥ずかしいだろうに。

 でも、開けたくない、と思った明日香は、
「この岩戸は故障中です」
と言ってみた。

「わかった。
 お前が此処は天の岩戸だと言うのなら、脱ごう」

 遥かな昔、まだ神々がそこ此処に居た頃、弟、スサノオの乱行に腹を立てたアマテラスが天の岩戸にこもった。

 彼女に出てきてもらおうと、その興味を引くため、アメノウズメが半裸で踊り、神々が大笑いしたそうだが。

 何故、半裸で踊りだしたら、神々が笑うのか、ちょっと謎なのだが。

 まあ、今でも、呑むと裸踊りをする人、居るからな。

 神様と酔っ払いを一緒にしてはいけないが、と思っている間、ドアの向こうは、しんとしていた。

 ……この人、なんの躊躇もなく脱ぎそうだな、とふと思う。