王様と私のただならぬ関係

 閉まりかけたドアを片手で押さえ、
「待ってください。
 ポンプのつけ方も、水の入れ方もわかりません」
と言うと、秀人は後ろを向いたまま、足を止める。

 少し迷って戻ってきた。

 なにも言わずに、リビングのローボードに黙々と水槽を設置する。

 水草の揺れる美しい水槽が完成した。

 じゃ、と再び、出て行こうとするので、
「あのー、お茶が入りましたけど」
と言うと、無言で飲んでいた。

「じゃ」
とまた立ち上がるので、

「待ってください。
 なんでそんなに帰りたがるんですか?」
と言うと、リビングから出かけた秀人は振り返り、

「お前が襲うなというからだ」
と言ってくる。

 ……そんなこと物悲しげに言われても、襲っていいから残れとは言いませんよ、と思いながら見ていると、
「じゃあ」
と言って出ていきかけ、ふたたび振り返ると、金魚を指差し、

「明日香と秀人だ」
と言って出ていった。