王様と私のただならぬ関係





 そのあとも、秀人は社食に来なかった。

 他に出会う場所もなく、明日香はひとり家に帰った。

 夜、明日香がひとり、ご飯を食べていると、いきなりチャイムが鳴った。

「はいはいはーい」
とインターフォンから覗くと、秀人が立っていた。

 きょ、今日は約束してませんけどっ、と思いながらも、緊張して、扉を開ける。

 相変わらず、彫像のように立っていた秀人が、明日香の前にそれを突き出してきた。

「金魚だ」

 いや……断りましたよね、と思いながら、夜店ですくったときにもらうのと同じ感じで、袋に入った金魚を見る。

 だが、秀人は相変わらず、人の話を聞いていない。

 下に置いていた袋を明日香に突き出し、
「水槽とポンプだ」
と言う。

「……金魚鉢じゃないんですか?」
と言うと、

「金魚鉢は可愛いが、常に入れておくのには狭いから」
と言って、じゃ、と帰ろうとする。