そう言って今度は、カエルの衛生兵をひょいと掴んで、私のそばで何かを拾うしぐさをさせている。
「何ですか、それ」
「ん？ 美冬のかけらを拾ってんの」
「私、まだ砕けてませんから」
「いや、ここに落ちてた。やる気のかけら、元気のかけら、気合のかけら」
言葉と同時に、私の肩にその『かけら』を置くしぐさをしている。
「ああ、これは捨てておかなくちゃ」
「え？」
「愚痴のかけら。それはここへ置いていこう。うう、これ、重いな」
カエルの衛生兵は、何かを掴んだままよろよろとしている。
そして、私の左手の先にちょん、とくっつけてきた。
「あ、ごめん、また愚痴のかけらをくっつけちゃった」
「ホントだ……何だか私、愚痴が言いたくてしかたなくなっちゃいましたよ！」
びっくりしたしぐさのカエルの衛生兵があまりにも可愛いので、ちょっとそのノリに付き合ってみる。
「その愚痴、くっつけたお詫びに最後まで聞くからとことん話せよ」
カエルの衛生兵の……もとい、奏多先輩の狙いはどうやら、それだったらしい。
