部屋を興味深そうに眺めていた奏多先輩が、やっとあるものの存在に気付いたらしい。
「ここにいたのか、お前達!」
そう、先輩はカエルの兵隊さん達を探していたのだった。
「隊長、全国ネットでテレビ出演も果たしていたな」
「ぎゃあああ、あれ、見てたんですか!?」
「もちろん。他の女子はみんな可愛いハンカチを握りしめてたのに、美冬だけはなぜか号泣しながらカエルを握りしめてたからな」
「……忘れてください」
「忘れられる訳ないだろ。俺が取ったカエル、あんな風に大事にしてくれてたんだな。嬉しいよ」
「だって、奏多先輩が初めて私にくれたものですよ。嬉しいに決まってます」
ねー、と言って、二等兵を動かしてみた。やっぱりこの子が一番、私に近い気がする。
そんな私のしぐさを見ていた奏多先輩が、すっと立ち上がった。
そして、私の前に立ちふさがり、いつになく真面目な表情で告げられた。
「じゃあ、俺そのものは、どう?」