そんな彼を見ているのは辛かったし、自分から命を捨てようとしている彼を止めたかった。だから咄嗟にあんな事をしてしまって……ブラッドに泣き言まで言ってしまって……。

「……っ!」
 
頬が熱くなるのを感じて直ぐに頭を左右に振る。
 
今まで一人で生きてきた私に、誰にも頼らず一人孤独だった私に、彼は手を差し伸べてくれた。私を助けてくれると言ってくれた。正直、あの時の言葉は何よりも嬉しかった。

「でも……」

彼もきっと私を……。
 
守護石を握りしめて軽く息を吐く。
 
私はブラッドたちの側に居てはいけない。だからこの件が片付いたら、何も言わずこの屋敷から離れようと思う。誰にも私のことは言えない。誰にも頼ることは出来ない。

「オフィーリア?」
 
ミリィに名前を呼ばれて我に返る。

「どうしたんですか?」

「ううん、何でもない」
 
私はそう言い守護石から手を放した。

「そう言えばオフィーリア。しばらくブラッドの屋敷に住む事になったんですよね?」

「そうだよ」
 
そうだ、まだミリィにはその話を詳しくしていなかった気がする。ここは何て言えば良いのだろう?

「まだ部屋を案内していませんでしたよね?」

「部屋?」
 
☆ ☆ ☆

ミリィに連れられて私はある部屋の前に立った。

「ブラッドがここを使ってほしいと言っていました」

「ブラッドが?」
 
ミリィから部屋の鍵を受け取り鍵穴に差し込む。部屋の鍵が開く音が響き、ドアノブに手を置きゆっくりと回す。扉を前に押して部屋の中に足を踏み入れた。

「これって」
 
部屋の中は真っ白な世界で統一されていた。その光景を前にした私は目を見開く。

「ブラッドがオフィーリアをイメージして用意したそうですよ」

「私をイメージして?」

あの人の中で私は白ってイメージなの?