「だって私のせいで!」
 
オフィーリアは俺の肩に顔を埋めると言う。

「私のせいで……みんな死んだんだから」

「っ!」
 
彼女は体を震わせながら俺の服を掴んだ。

「みんな私を守って死んだのよ! 大好きだった家族も……友達も……みんな死んじゃった」

「……オフィーリア」
 
俺はオフィーリアの体を強く抱きしめた。

「どうして私なの? どうしてみんな……私の前から居なくなるの?」
 
オフィーリアも苦しんでいたんだ。ずっと一人で苦しみを背負いながら生きてきたのに俺は……勝手な事を言った。

「ごめんオフィーリア! お前だって苦しかったんだよな」
 
腕の中で小さく頷いたオフィーリアの言葉を俺は思い出す。

【ずっと生きたくても生きられない人だっているんです】――確かにその通りだった。人はいつ死ぬか分からない。そんなこと知っているのは神様くらいだろう。
 
だから俺たちは死んでしまった人たちの分まで、生きなくてはならないんだ。こうして今生きているのだってきっと理由があるはずだ。

「命は……大切にして下さい。あなたが死んでしまったら、悲しむ人が居るってことを考えて下さい。私は……あなたが死んでしまったら……悲しいです」

「ああ……」
 
何でこんな大切なことを忘れてしまっていたのだろう。
 
ずっと今日まで自分の命なんてどうでも良いと思っていた。俺一人死んだところで、誰も悲しまないだろうと思っていた。
 
でもオフィーリアが思い出させてくれた。ずっと光の差さない暗闇の中で居た俺に彼女は光をくれた。

「約束する。俺は必ず生きてみせるよ、自分の命を捨てることは絶対にしない」

「……うん」
 
奪われてしまった望みを取り戻すために、そして彼女を守るために必ずあいつらを捕まえるんだ。
 
きっとその先には俺たちが幸せになれる未来が待っているはずだから。