「さっきからうるさいけど……」
 
後ろの方からも呆れた声が聞こえ俺たちはそちらへと目を向ける。

「オフィーリアさん!」

「大丈夫なのか?」
 
オフィーリアはゆっくりと体を起こすと頷いて返した。

「まだ寝ていた方が良いだろ?」

「いいえ、大丈夫よ」
 
体を起こしたオフィーリアはベッドから出ると立ち上がる。
 
そんなオフィーリアの姿をミリィは見惚れるように見ていた。

「ほんとにオフィーリアさんって綺麗ですね」
 
ミリィの言葉にオフィーリアはビクッと肩を上がらせる。

「そ、そんな……私が綺麗だなんて」

「いえ! ほんとに綺麗です!」
 
ミリィはそう言いながらオフィーリアの手を掴んで詰め寄った。

「銀髪のオフィーリアさんも良いけど、金髪のオフィーリアさんもとても綺麗です!」
 
ミリィは瞳を輝かせながら更に詰め寄る。まるで今まで欲しかった物が目の前にあって、それを見て喜ぶ子供のようだ。

「ふっ……子供だな」
 
思わず鼻で笑ってしまい、もう一度腹パンチを食らう羽目になったのは言うまでもない。

「ねえ一つ聞いても良い?」

「なんだ?」
 
オフィーリアは俺とミリィの顔を交互に見ると質問してきた。

「レオンハルトさんとミリィは、ブラッドの幼馴染なの?」
 
その言葉に顔を見合わせた俺たちは軽く微笑むと言う。

「まあ、そんなところだ」

「小さい時からよく一緒に居たからね。でも私たちの中では、ブラッドとレオンハルトが年上なの」

「そうなの? てっきり同い年かと思ったのに」

「俺はこう見えて今年で二十一歳だ」
 
そう胸を張って言うと、オフィーリアは疑わしげな目を向けてきた。そんなに疑うことでもないと思うのだが。