ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「少しは信頼されたのかな?」
 
そう思ってオフィーリアの頬に手を当てる。すると冷たい頬に軽く赤みがさした。

「ブラッド」
 
扉の近くでミリィの声が聞こえ、オフィーリアから手を離した俺は振り返った。

「どうしたミリィ?」

「……レオンハルトは大丈夫なんだよね?」
 
そうだった。ミリィは誰よりもレオンハルトの事を心配していたんだった。

「ああ、大丈夫だ。今頃は病院で治療を受けているはずだ」

「なら良いんだけど……凄く心配で」
 
ミリイは不安そうに胸に手を当てる。そんなミリィに近寄った俺は、頭の上に手を置いて言う。

「だったら明日お見舞いに行って来いよ」

「ブラッドは来ないの?」

「ここ数日思ったより魔力を消費しすぎたからな。しばらくはゆっくりと休むことする」

「……分かった。ブラッドの分までレオンハルトにお説教してやるんだから」
 
目に涙を浮かべながらミリィは微笑んだ。

「そうだな。ミリィからバシッと言ってやってくれ。……それとも俺が居ないと寂しいのか?」

「なっ!」
 
俺の言葉に頬を真っ赤にしたミリィが瞳を丸くした。そんなミリィを見て俺は意地悪な笑みを浮かべる。
 
ミリイを弄れる機会なんてそうそうないからな。これは逃すわけにはいかない!

「そ、そんなわけないでしょ! ブラッドが居なくても全然寂しくないんだから」

「え〜? 本当に?」
 
頬に汗を浮かべるミリィは胸の前で腕を組むと言う。
 
こういうところが素直だったら可愛いのに。

「ここは素直に【寂しい】って言ってもいいんだぞ?」

「だ・か・ら! 違うって言ってるでしょ!!」
 
すると右拳に力を込めたミリィの拳が、俺のお腹に鋭く直撃した。