ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

光の弾(ライトバレット)!」
 
数段の光の弾を放ち既にヒビが入っている床を破壊する。

「よっと」
 
破壊した床から下の階へと降りる。上手く着地し辺りを見回す。

「確かレオンハルトの魔力を感じたのはこの辺りのはずだ」
 
後ろを振り返った時、そこには驚いた表情を浮かべるレオンハルトの姿があった。

「あ、いた」

「ぶ、ブラッド! なぜお前がここに居るんだ?」
 
レオンハルトはやっぱり同じ捜査一課の子であるミューズを、光の盾を使って守っていた。そんなレオンハルトに歩み寄ると言う。

「お前を助けに来たに決まってるだろ?」
 
俺の言葉に目を見開くレオンハルトを見下ろし、その隣に居るミューズに目を向ける。

「この人がミューズか?」

「今は魔力が切れて気絶している。怪我は大したことない」

「そうだな。お前の方が酷いわ」
 
レオンハルトの服には所々血の跡がついている。一番酷いのは横っ腹だ。
 
俺は直ぐに治癒魔法をかけはじめる。

「何で直ぐに逃げなかった?」

「逃げられないようにされたんだよ」

「いったい誰に?」
 
治癒魔法をかけながらレオンハルトを見る。レオンハルトは目を細めると言う。

「道化師だ」

「っ!」
 
その名前を聞いたとき体に力が入った。やっぱりあいつらが!

「話しの続きは後だ。今はここから出る事を優先しよう」

「あ、ああ」
 
レオンハルトの言う通り今は一刻も早くここから脱出しないと。

外でオフィーリアも待っているしな。
 
そう思って立ち上がった時、頭上から嫌な音が聞こえた。

「……なんだ?」
 
疑問に思って天井を見上げた時だった。

「ブラッド! 今直ぐそこから離れろ!」
 
レオンハルトの声と同時に天井全域にヒビ割れが生じ、瓦礫が俺目掛けて崩れてきた。

「ブラッド!」

「──っ!」