ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「ちょ、ちょっと!」

「オフィーリアはそこに居てくれ!」
 
中に入る前に魔法の詠唱を始める。

「水の精霊よ、その力を以て我を守りたまえ。水の輪(ウォーターリング)
 
体を水の輪が包み込み俺はそのまま本部の中に突っ込んだ。

「さ、さずがに熱いな」
 
建物の中は熱気のせいで息をするのはやっとだった。だがそれは水の輪のおかげでもあるけど。

水流(ウォーター)!」
 
水流の魔法を使って周りの炎を消して行く。しかしいくら消しても炎は広がるばかり。これじゃあ無駄に魔力を消費しているだけだ。

「くそ! きりがないな」
 
ほんとはここで右目を使いたくないんだが……仕方がない。
 
俺は覚悟を決めて右目を隠していた眼帯を外す。ゆっくりと右目を開き魔力を注ぐと、右目は不気味な紅い光を放つ。

「頼むからレオンハルトの魔力を感じ取ってくれよ」
 
右目に魔力を注ぎながらあちこちに目を向ける。

「どこだ……レオンハルト!」
 
建物をぐるっと見回した時、下の階から微かな魔力の波動を感じた。それは紛れもないレオンハルトの魔力だった。

「この下か!」
 
レオンハルト以外にもう一つ違う魔力を感じる。
 
こっちの方はレオンハルトと違って魔力が切れかかっている。

「レオンハルトが守っているのか?」
 
そのせいなのかレオンハルトの魔力も限界に来ているようだ。

「急ぐか!」
 
右目に眼帯を付け直し足元に向かって手をかざす。