流石に図星を突かれてしまったせいか横腹が痛み始める。

「探偵なんてただの肩書のくせにさ」
 
ミリィはとどめを刺すように瞳を光らせてそう言い放った。
 
当然その言葉も体に勢い良く突き刺さり、俺は椅子から転げ落ちて後ろへと倒れた。
 
なんとか体を起こし机の角に手を掛け、顔だけ覗かせて恨めしそうに言う。

「仕方ないだろ? 表で堂々と【怪盗やってます】なんて言えるか!」
 
その言葉にミリィは楽しそうに微笑む。

な、なんて嫌らしい笑みを浮かべやがる……。

「言ったら捕まっちゃうもんね」
 
ミリィはニコニコ微笑みながらスプーンを使って紅茶を掻き混ぜている。
 
そんなミリィを横目で軽く睨み付けながら椅子に座り直し、目の前に置かれているサンドイッチを一掴みしガブリと噛み付く。
 
表では探偵。裏では怪盗。それが俺の仕事だ。

どっちの方が仕事量あるの? と聞かれたらそうだな。

どちらかと言うと怪盗の方が多い。
 
なんたって俺はあの有名な【怪盗レッドアイ】だからな。

昨日だって頼まれた宝石を盗み出して来たんだ。魔法警察から逃げる時に魔力を消費し過ぎたのは誤算だったけど。

「そう言えば今日も新聞の表記事に堂々と写っていたよ」

「おっ、まじか!」
 
俺は直ぐ手元に置いてあった新聞を掴み表紙を見る。

【怪盗レッドアイ――またまた参上! 今度は世界一美しいとされる双玉のサファイアを盗み出す】
 
そこには堂々と俺に関する記事が取り上げられていた。

今回の記事に使われている写真も中々のもので俺がかっこよく写っている。