「こ、これって?」

「少し酔うかも知れないけどそこは勘弁な」

「そ、それどういう意味よ?!」
 
オフィーリアの手を強く握りしめ俺は魔法を発動させる。

瞬間転移(テレポーテイション)!」
 
体に纏わせた魔力が青白い輝きを放つと、その光は俺たちの体を包み込み転移させた。

☆ ☆ ☆

「おい、オフィーリア」

俺は気絶しているオフィーリアの頬を軽く叩く。
 
どうやらさっきの瞬間転移によって気絶してしまったようだ。

普段魔法を使っている奴は、瞬間転移を使っても軽い乗り物酔いで済む。

だが魔法を使おうとしないオフィーリアは例外のようだ。

気絶する奴なんて初めて見たぞ。

「オフィーリア! 目を覚ませって」

「うっ……」
 
俺の声に気がついたのかオフィーリアは薄っすらと目を開いた。

「ここは?」

「本部近くの裏路地だ」
 
オフィーリアはゆっくりと体を起こすと思い出したように言う。

「そうだ! 確か瞬間転移をして」

「そう。そのせいでお前は気絶したんだよ」

「き、気絶……」
 
オフィーリアは信じられないとでも言うような表情を浮かべた。

そして少し赤面しながら立ち上がり俺に背を向ける。

「別に恥ずかしい事じゃないぞ」

「は、恥ずかしがってなんか……」
 
そこは素直に頭を縦に振ったら可愛いのにと、密かにそう思いながら歩き出す。

俺の後に続いてオフィーリアも歩き出す。
 
裏路地から大通りへと出た時、景色は一変した。