「ごめんね。今日はこっちが優先なんだ」

「っ!」
 
俺はオフィーリアの体を自分の方へと引き寄せる。

「い、いきなり何をするの?!」
 
顔を真っ赤にしたオフィーリアは小声でそう聞いてくる。そんなオフィーリアに俺も小声で耳打ちする。

「良いから俺の話に合わせて」

俺は小さく咳払いをし、紳士的笑顔を女神たちに向けて言う。

「今日は【婚約者】にこの街を案内させているんだ」

「……こっ!」

「えええっ! ブラッド様に婚約者が?!」

「信じられません!」
 
うん、だってさっき思いついた事だしな。

「な、何を言っているのよ! 私はあなた何かの」

「そんな照れる事ないだろ? でもそういうところも可愛くて好きだけど」

「っ!」
 
俺はオフィーリアの髪に触れその髪に優しく口づけを落とした。その光景を目の当たりにした彼女は顔を真っ赤にして目を見開いた。
 
そんな俺たちのやり取りを間近で見ていた女神二人も、顔を真っ赤にして俺たちを見てきていた。

「とても……とても素敵なお二方です!」

「それにご婚約者様はなんて綺麗な方なのでしょう」
 
女神たちの言葉にギョッとした顔をオフィーリアは浮かべる。

「き、綺麗だなんてそんな……私よりもあなた達の方が綺麗に見えるけど」
 
あ、やっぱりオフィーリアのやつ自覚ないんだ。自分が綺麗だってことに。

「いえ! わたくしたちよりもあなた様の方がとても綺麗でお美しいです!」

「き、綺麗?! 美しい!?」
 
オフィーリアはその二つの単語を聞いて顔をひきつらせた。